歯周病と口臭には密接な関係があります。歯周病は歯を支える歯茎や骨に影響を与える病気で、適切な治療を受けないと進行し、最終的には歯を失うこともあります。この病気が口臭にどのように影響を与えるかについてご説明します。
歯周病のメカニズムと口臭の発生
歯周病は、歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)が溜まることから始まります。プラークは細菌の塊で、これが歯茎に炎症を引き起こし、歯肉炎や歯周炎へと進行します。これらの細菌が増殖すると、以下のようなプロセスで口臭が発生します。
1. 細菌が臭いの強いガスを産生する
歯周病を引き起こす細菌は、揮発性硫黄化合物(VSC)という臭いの強いガスを産生します。これらのガスは口臭の主な原因の一つです。
2. 膿が形成される
歯周病が進行すると、歯茎から膿が出ることがあります。膿には強い臭いがあり、口臭の原因となります。
3. 歯茎や骨の組織が壊死する
歯周病が重症化すると、歯茎や骨の組織が破壊されます。この壊死した組織も口臭を引き起こします。
- 歯みがきが不十分で歯に歯垢(プラーク)が付着している
- 歯垢は粘着性であるため、しっかりと除去しなければ時間を追うごとに溜まる
- 酸素が少ないお口の状態になると嫌気性菌が多くなる
- 嫌気性菌が歯肉に侵入し、歯周組織や歯槽骨を破壊しようとする
- 身体が防御反応をし、お口に炎症が起きやすくなる
- 歯垢が歯石となり、セルフケアでは除去ができない
炎症による毒素が全身の血管に巡ると、様々な疾患を悪化させる原因になります。
様々な口臭の原因
人が多い場所に行ったり、会話をすると口臭が気になるということはありませんか。口臭の原因については、様々あります。
- 起床直後や空腹の生理的な口臭
- ニンニクを食べたりお酒を飲んだりタバコを吸ったための外因的な口臭
- 自分は臭うと思い込んでしまう(自臭症)心因的な口臭
- 虫歯や歯周病など口腔内の病気や全身疾患が原因で生じる病的な口臭
口臭を抑えるためには
口臭を抑えるためのいくつかポイントや方法をご案内します。
- 食後の歯磨きは日常的に行う
- 就寝前のブラッシングはより丁寧に行う
- 唾液を多く分泌するために食事の際にきちんと噛む
- 歯ブラシ以外のデンタルケア用品(デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシ・舌用ブラシ)を使う
- 口呼吸ではなく鼻呼吸をする
- 外出先で気になる際はマウスウォッシュやスプレーを使用する
毎食後、フロス・歯間ブラシ・タフトブラシ・舌用ブラシを使用する必要はありません。就寝前の歯磨きで使用するのみでも大丈夫です。舌苔は口臭の一因と言われ、舌用ブラシで除去すれば口臭は減少します。マウスウォッシュや洗口液は一時的ではありますが、効果はあるのでおすすめです。
唾液には口腔内を自浄する役割があります。眠っている間は唾液の分泌が少ないため、お口の中が乾燥しやすく細菌が繁殖しやすくなります。そのため、起床時と睡眠時は歯磨きやうがいをしてお口の中の細菌を除去しましょう。
まとめ
歯医者さんへ定期通院を行っている方は、歯周病が見つかった場合でも初期に治療が可能です。口臭や膿が出る前に必要な治療が行えますし、歯質を強くするためのフッ素塗布をして虫歯の予防も行えます。歯の痛みや異常が出てから歯科へ通院するのではなく、予防歯科、歯の健康を保つために通院をすると、大切な歯を健康に長持ちさせることができます。