虫歯

虫歯予防のための毎日の食習慣についておしえて

虫歯予防のための毎日の食習慣についておしえて

クローバー歯科クリニック豊中本町院 歯科医師 金子 浩康

虫歯にならないようにするには、毎日の食習慣が重要な意味を持っています。虫歯の出来かたを理解して、効率よく虫歯を防ぐ食習慣についてご説明します。

歯を構成するエナメル質、象牙質、歯髄について

歯を構成しているエナメル質、象牙質、歯髄についてまずご説明します。

歯の構造

歯の構造は外側から順にエナメル質・象牙質・歯髄(神経)という三層構造になっています。歯髄を覆うように象牙質という組織があり、象牙質の外側をエナメル質が覆っています。

虫歯になると外側のエナメル質がまず溶けていき、虫歯の穴が歯髄まで到達すると強い痛みが起こるので、歯科では歯の神経を取って代用品で埋める治療を行います。

ただし、神経を取ってしまうと、歯髄から供給されていた栄養素や酸素が断たれてしまうため、神経を抜いた歯は脆くなって歯の寿命が短くなります。そのため、歯科では出来るだけ歯髄を取らない治療をまず試みます。

人体で最も硬いエナメル質は象牙質と歯髄に守られている

エナメル質はモース硬度でいえば人体で一番硬い7という数値です。固いためにエナメル質は弾力性に欠け、弾力に優れる象牙質が土台となって歯の強度を高めています。

エナメル質と象牙質をさらに内部で支えているのが歯髄です。歯髄の部分を削り取って神経を抜いてしまうと、象牙質とエナメル質に栄養素や酸素が供給されなくなるため、自然治癒が不可能になります。そのため、神経はなるべく取ってしまわずに守りたいのです。

口の中が酸性になると歯が溶ける

歯のエナメル質は、お口の中が酸性になると表面が溶け始め、唾液によって修復されます。歯は酸性にとても弱いため、唾液が口内の酸を中和して中性に近づけて歯を守る役割をもっています。

そのため口内のpHは中性を保つことが望ましいのですが、虫歯菌が糖をエサにして出す酸は、口内のpHを酸性にして虫歯を生み出します。また、柑橘類やお酢などの酸性のものを飲食することでも歯の表面は溶かされます。

口内洗浄用のうがい液や虫歯予防に用いられるフッ素などはアルカリ性です。つまりアルカリ性の液体でうがいをすると、食事などで酸性に傾いた口内を中性に近づけることができます。

口内が酸性になると虫歯が悪化

口内が酸性であれば虫歯が悪化してしまうため、エナメル質を守るためには、口内は中性をキープしたいのですが、それにはまず酸性の食物の飲食に気をつけましょう。

お酢やみかん、レモンとなどの酸味の強い食品は、虫歯を悪化させてしまう酸性食品です。虫歯菌が糖から酸を作り出して歯を溶かさなくても、酸性の食品をとり続けると口内が酸性になり、歯が溶けてしまうのです。

柑橘類はビタミンCを多く含みますし、お酢も身体に良い食品といわれています。しかし、個々で注意したいのは、身体に良い食品=歯に良い食品とは限らないということです。

健康のために毎日飲むお酢を摂取したところ、歯のエナメル質が溶けて知覚過敏を起こす方もおられます。お酢の含まれた飲料を適量を摂取するのは構いませんが、飲んだ後はうがいをするか水を飲んで、口内の酸性濃度を下げることが必要です。

甘くて粘着力のある食材は要注意!

酸性の食品は歯を溶かし、虫歯を悪化させることがあります。では、酸性ではない食品を摂ることが虫歯予防になるのでしょうか?

残念ながら、そうとは言い切れません。糖は虫歯菌のエサになり、虫歯菌の出す酸で歯が溶けてしまうため、例え酸性の食品でなくても、糖を含んだ食品は虫歯を悪化させるリスクがあります。

糖の中でも虫歯を悪化させやすいのは、キャラメルやカカオ比率の少ないチョコレート、そしてドライフルーツなどの粘着力の高い食べ物です。粘度が高い食品は歯にこびりつきやすく、歯の表面にとどまりやすいため、粘度の低い甘い食べ物と比べると虫歯の悪化につながります。あめ玉も、口内に糖が長い時間とどまるため、虫歯になりやすいといえます。

そのため、粘着力のある甘いものや、飴などの口内に長時間糖がとどまるような食品を食べる時は、食べた後にうがいや歯磨きをしましょう。水を一杯飲むだけでも口内を中性に戻すことが出来ます。

まとめ

食事

虫歯を予防するためには、口内が酸性になる時間を短くすることと、口内に糖が長時間残らないように気をつけることが大切です。チョコレートは虫歯になりやすいと思われていますが、カカオの比率の高いチョコレートは他のお菓子と比べると虫歯を悪化させにくい食品です。

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