新しい入れ歯を作ってしばらくの間は、入れ歯の装着感に慣れることが大事です。被せ物や詰め物、ブリッジやインプラント等、お口の中に固定されたものは異物感が少ないのですが、入れ歯のように自由に取り外し出来るものは、どうしても最初は異物感があります。入れ歯に早く慣れるためのポイントについてご説明します。
入れ歯による様々な違和感と対策
入れ歯をつけた状態や付け外しに慣れるまでは、ある程度の練習が必要になります。異物感によって起こるのは以下のようなものです。
1.歯茎に痛みを感じる
入れ歯はものを噛んだ時の力を歯ぐきで受け止めるため、歯茎がその力の感触に慣れるまでは、痛みを感じる場合があります。軟らかいものから食べ始め、少しずつ慣らしていきましょう。
また、入れ歯を入れる前は左か右の片方でばかり噛んでいた方は、左右の歯で均等に噛むように意識することも大切です。
2.唾液が増える
お口の中の異物感のために、一時的に唾液が増えることがありますが、入れ歯を装着した状態に慣れてくると殆どの場合おさまります。
3.噛みにくい
入れ歯に慣れるまでは、しっかり噛めているかどうかの感覚がつかみにくいかもしれません。軟らかいものから噛みはじめ、少しずつ慣れていきましょう。
4.しゃべりにくい
入れ歯の場所や大きさによっては、発音しにくいと感じることもあります。その場合は鏡を見ながら声に出して発音する練習をしましょう。次第に慣れて発音出来るようになりますが、どうしても発音しにくい場合は担当医にご相談ください。
5.吐き気がする
奥歯の部分入れ歯や総入れ歯の場合には、喉に近い部分が刺激されて吐き気がする方もおられます。特に上顎の奥歯の場合にその傾向が強くなります。
装着時にその日の体調によって吐き気を感じる方もおられれば、装着中に急に吐き気が起こる方もおられ、個人差が大きいです。実際に吐いてしまう方は少ないのですが、嘔吐感がひどい場合は担当医にご相談ください。
入れ歯に慣れるためには使い続けることが大切
入れ歯に慣れておらず、様々な違和感を感じてしまう間は、入れ歯を使い続けることに対して消極的になるかもしれません。
入れ歯に慣れるまでは使い続けることが一番の近道になりますが、どうしても入れ歯を入れたくない日は、無理に使うことはありません。慣れるまでの時間は個人差が大きく、人によってはかなり長い時間がかかる場合もあります。
そのため、違和感を強く感じる方は無理に長時間使い続けて大きなストレスになるよりは、少しずつ慣らしていきましょう。これから長く使っていくにつれて、違和感は少しずつ消えて、入れ歯がご自身の身体の一部であるかのように感じるくらいに違和感がなくなっていきます。
使い始めて数日間は、就寝時も含めてずっと入れ歯を装着するようにおすすめする場合もあります。それは入れ歯の装着感に慣れていただくためです。嘔吐反射のような大きな違和感を感じることがなければ、最初のうちはとにかく使い続けるというのも、入れ歯に慣れるための一つの方法です。
入れ歯の違和感は最初は誰もが感じる
入れ歯を初めてお口に入れた時に、全く違和感を感じない方は殆どおられません。想像していたよりも違和感が大きくて驚かれる方もおられます。これから本当にずっと入れ歯を使っていけるのだろうかと不安になるかもしれません。
しかし殆どの方は使い続けることで慣れることが出来ますので、諦めずにまず使ってみていただきたいと思います。
違和感がどうしても消えない場合は
嘔吐反射が強い方で、保険の入れ歯をお使いの方は、自費診療の入れ歯に変えることで違和感が減るかもしれません。しかし、自費診療の入れ歯は高額ですので、気軽に試してみるというわけにはいきません。
自費診療の入れ歯以外の選択肢は、ブリッジまたはインプラントということになります。ブリッジとインプラントは共に固定式ですので、違和感を感じることは殆どありません。
嘔吐反射や発音しにくいなどの違和感が強く、今後長く入れ歯を使っていく自信が持てない方は、他の治療法も含めて担当医にご相談ください。
入れ歯に慣れる方法に関するQ&A
入れ歯に慣れるためには、入れ歯を装着し続けることが重要です。また、違和感を感じる場合は少しずつ慣らしていくこと、そして困難を感じた場合は専門家に相談することが推奨されます。
難しい場合は、入れ歯を無理に装着せずに、少しずつ時間をかけて慣れることが大切です。違和感が強く、長時間装着するのがストレスになる場合は、一度に長時間使わず、少しずつ慣れる時間を増やすことをお勧めします。
鏡を見ながら発音の練習をすることが有効です。しかし、どうしても困難な場合は担当医に相談することが推奨されます。
まとめ
入れ歯を初めて使う方は、一瞬で慣れるということはまずありませんので、初めの違和感が大きくてもがっかりしないでいただきたいと思います。使い続けて慣れていくということを念頭に置いて、時間をかけて入れ歯がぴったりとご自身の身体に馴染むようになるまで、まず使ってみましょう。入れ歯を使っている間の様々な不安や疑問などは、どうぞご遠慮なくご相談ください。