銀歯で熱い物を食べた時にしみるという経験をしたことはありませんか。今日は、銀歯の構造や熱い冷たいなどの温度がある食べ物がなぜしみるかという理由について詳しくご紹介いたします。
銀歯の構造や治療について
一般的な呼び名の銀歯とは、保険適用で行うむし歯治療のひとつです。保険適用の材料として、銀歯は金銀パラジウム合金を使用しています。
- コンポジットレジン(CR・歯科用プラスチック)では対処できないため、虫歯菌を除去した歯に詰める詰め物(インレー)
- 削った部分が大きい場合は削って薬剤を充填して被せ物(クラウン・差し歯)
自費か保険かむし歯治療の違い
虫歯が前歯の位置ならば、保険で治療できる銀歯は自費治療と比べて安いですし、ある程度の強度はあります。ただし、周囲の白い歯と比べて目立つという審美性に問題があり、経年劣化というデメリットがあります。奥歯の位置ならば大きく口を開けたり、近くで人と話す際に目立ちます。噛み合わせるという大事な役割がある奥歯は、食べ物を噛むうちに銀の強度が落ちてしまいます。
- 時間が経つと歯と被せ物や詰め物の間に隙間ができ、二次虫歯の可能性が高くなる
- 体内に金属イオンが溜まり、金属アレルギーというリスクがある
自費治療の場合は、セラミックや金など材料の選択肢が多くあり、より精密に詰め物や被せものを作製できます。また、オールセラミックやジルコニアセラミックなどは審美性が高く、人工歯と天然歯の違いが分かりづらいというメリットがあります。
現在ではほとんどの歯科医院で使用されませんが、アマルガム合金が保険適用で使用されていました。アマルガムには水銀が含有されており、病気のリスクや人体への影響やが大きいため、日本では30年以上前から禁止とされています。
熱いものがしみる原因
では、熱いものがしみるという症状の原因についてご案内します。
歯科へ通院されていない方がしみるケース
まず、特に歯医者さんへ通院されていない方で熱い物がしみるケースをご説明します。
知覚過敏
歯磨きの際に歯ブラシを歯茎に当てて強く磨いたために、歯の根元が露出し、食べ物の温度や濃度が伝わり、痛みを感じます。医院でコーティング剤を塗布してもらうなどの処置を行うと、しみる痛みが軽減します。
虫歯
虫歯は食べかすや歯垢(プラーク)を餌に酸を排出して、人体の組織の中でも固いエナメル質を溶かす細菌感染です。重度になるとエナメル質の内部にある象牙質、更には、神経(歯髄)にまで進行し、根管治療が必要となります。熱いものがしみる虫歯は重度の可能性が高いため、なるべく早くクリニックへ通院し、歯科医師の治療を受診しなければなりません。
歯ぎしり・食いしばり
ギリギリと歯を擦ったり、歯の先端をカチカチと合わせていると、歯がすり減り、根元が削れてしまいます。削れた部分に温度差がある食べ物がしみます。歯ぎしりや食いしばりが多い方には、マウスピースを作製し、就寝時に使うと、歯にかかる力が軽減されます。
むし歯治療を終了された方がしみるケース
逆に、歯医者さんでの治療が終わったのに、熱い物がしみるケースをご説明します。
神経が過敏な状態
歯を削って、被せものや詰め物をした直後は、歯へ強い刺激があった後ということです。歯のエナメル質は固い組織ですが、内部は象牙細管などがあり、神経が多く通っているところです。強い刺激で神経が過敏になっていますが、日にちが経つと第二象牙質の形成により、しみる痛みが消失します。そのため、ドクターから様子を見ましょうと言われることがほとんどです。
銀の特徴である熱伝導
銀→銅→アルミニウム→鉄→チタン→ステンレス→陶器(セラミック)という順番になります。銀歯の材料は合金といえ、最も熱伝導率が高いため、食べ物や飲み物の熱い冷たいなどの温度を内部に伝えやすくなります。
銀歯以外熱いものはしみる?しみない?
先述しましたが、セラミックは最も熱伝導率が低い材質です。そのため、熱さ・冷たさによる刺激や痛みが起きにくく、また着色しないため白さを保つ審美性、噛んだ時の耐久性もある素材です。経年劣化が起きにくい材質であるため、長期的に歯の健康をと考えられる方にはおすすめです。
- 口の中の食べ物がしみる・二次むし歯のリスクを避けたい場合
- 審美性のある歯にしたい場合
むし歯の位置によっては、保険適用内でCAD/CAM冠という白い歯を入れることも可能です。虫歯の被せものや詰め物をきれいな白い表面にしたい場合は、担当医にご相談ください。
銀歯に熱い物がしみる理由に関するQ&A
銀歯は熱伝導率が高いため、食べ物や飲み物の温度を歯の内部に伝えやすくなります。そのため、熱い物が銀歯に触れると、歯の神経への刺激が強くなり、しみる痛みを感じることがあります。
銀歯は一般的には金銀パラジウム合金を使用しています。むし歯治療の一環として、虫歯を除去した歯に詰め物(インレー)として使用されたり、削った部分が大きい場合には被せ物(クラウン・差し歯)として使用されることもあります。
熱いものがしみる原因には、知覚過敏や虫歯、歯ぎしり・食いしばりなどがあります。これらの要因によって歯や神経が刺激され、痛みを感じることがあります。
まとめ
治療を終えてから日にちが経っても銀歯に熱いものがしみて激痛がするという場合は、放置せず治療を行った医院へご連絡ください。歯髄炎という炎症を起こしている可能性もあります。予めドクターやスタッフに事情を説明し、なるべく早く通院の予約を取り、口腔内の状態を改善してもらいましょう。