「歯医者で歯周病といわれたけれど治りますか?」
「歯が悪くて歯周病ですが治療を続ければ元通りになりますか?」
歯周病は軽度の症状は歯周炎ですが、重度になると歯がグラグラしたり歯が抜けてしまったりしますので、歯周病といわれると不安になると思います。
歯周病が治るかどうかは、歯周病の進行具合にもよりますし、どの状態を治ったと判断するかでも違ってきます。歯周病の進行別の症状の症状の改善についてご説明します。
歯周病チェック
この中で3つあてはまる方は歯周病かもしれません。
- 口臭を指摘された、口臭を感じる
- 歯を磨くと出血する
- 歯茎がむずがゆい
- 朝、口の中がネバネバする
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい
- かたいものがかみにくい
- 歯が長くなったような気がする
- 歯茎が腫れている
出典元:日本臨床歯周病学会
歯周病の進行と症状
歯周病は症状の進行具合によって軽度と中度と重度に分かれます。軽度は治りやすく、重度になると歯を失う危険が出てきます。順にご説明します。
歯肉炎
歯肉炎の症状
- 歯に歯垢がたくさんついている
- 歯と歯茎の境目が赤みを帯びている
- 歯と歯茎の境目が腫れている
- 歯茎から出血する
歯肉炎と歯周炎の違い
歯周炎は歯周病の初期段階です。歯周病の進行度を診るには歯周ポケットの深さが重要な手掛かりとなりますが、初期の段階では歯周ポケットの深さは3mm程度です。
歯周ポケットが3mmよりも深くなると歯周炎と呼ばれ、歯周病の治療が必要になります。歯肉炎の段階では、毎日の歯磨きをていねいに行うことと、定期健診(歯のクリーニング)を受けていただくことで改善します。
軽度の歯周病
軽度の歯周病の症状
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯みがきで歯茎から血が出ることがある
軽度の歯周病は、歯肉が赤く腫れて歯みがきのときに出血しやすくなります。また、歯と歯茎の間の溝が少しずつ深くなり、歯周ポケットを形成します。
歯周ポケットが深くなると、その中に歯垢がつき、細菌が繁殖します。歯磨きで落としきれない歯垢は石灰化して歯石に変わり、その中に更に細菌が棲みついて増殖します。
細菌が増えれば増えるほど歯周病は進行していき、歯周ポケットは深くなって骨を溶かしていきます。
この段階ではご自分では気づけない場合も多いため、歯科医院で定期健診を受けるようにして、歯科医師や歯科衛生士に歯茎の状態を定期的にチェックしてもらいましょう。
中度の歯周病
中度の歯周病の症状
- 歯茎が腫れてブヨブヨしてくる
- 歯茎から出血しやすい
- 歯茎から膿が出ることがある
- 口臭がする
- 歯茎が下がって歯が長くなったように見える
- 歯がグラつくようになる
様々な自覚症状が出てきます。歯周ポケットが深くなっていますので、歯みがきで歯周ポケットの奥をきれいにすることは出来ません。歯垢や歯石が歯周ポケットに溜まりますので、歯科医院で除去する必要があります。
放っておくとどんどん症状が進んでいきますので、気づいたらすぐに歯医者の定期健診を受けましょう。歯茎の腫れはある程度は改善させることが出来ますが、既に失ってしまった歯槽骨は元に戻りません。すぐに治療を開始することをおすすめします。
重度の歯周病
重度の歯周病の症状
- 歯茎が真っ赤に腫れる
- 歯茎から膿が出る
- 膿や歯周ポケットの奥の歯垢によって強い口臭がある
- 歯茎から頻繁に出血する
- 歯がグラグラする
- 歯と歯の間に隙間が出来てくる
- 歯茎が下がって明らかに歯が長くなったように見える
歯周ポケットの深さが6mm以上になると、重度の歯周病(歯槽膿漏)と診断されます。
この段階になると、歯を支えている歯槽骨が歯周病菌によってかなり溶かされてしまっていますので、歯がグラグラして、放っておけば抜けてしまいます。
重度の歯周病では、歯を失うかどうかの瀬戸際になります。歯茎のケアを続けると同時に、歯を残すための対策が必要になります。
歯周病は治るの?
歯肉炎は炎症が改善すると治ります。
軽度の歯周病は、症状が改善すると一見治ったように見えますが、骨が既にある程度溶かされている場合は、その部分は元に戻りません。
中度の歯周病では、骨が溶かされ、歯茎が下がって歯が長く見える状態になっている場合、見た目はあまり改善しませんし、溶かされた骨も元には戻りません。
しかし歯周病治療を続けることで症状が進むのを食い止め、歯を失うリスクを減らすことが出来ます。根気よく歯のケアを続けた結果、健康な歯と歯肉を取り戻した患者さんもおられますので、歯周病治療を続けながら全身の健康状態にも気をつけていただきたいと思います。
重度の歯周病では、歯茎を炎症のない状態に保ちながら、歯をいかに長もちさせられるかを考えながらの治療となります。
既に大きくグラついている歯の場合は、グラグラしているのを改善することは難しいかもしれません。しかしそれ以外の歯の歯周病の進行を抑え、状態を何とか改善させられるように治療を続けることが大切になります。
歯周病ってどんな病気?治るの?に関するQ&A
歯周病の治療は進行度によります。歯肉炎の段階では、正しい歯磨きと定期的な歯科医院でのクリーニングで改善できます。進行している場合は、専門的な治療が必要になります。
初期の歯周病では口臭、歯磨き時の出血、歯茎の痒み、口の中のネバつき、食べ物の挟まりやすさ、固いものの噛みにくさ、歯が長く感じるなどの症状が現れます。
歯周病の治療期間は、その症状の重さと進行度によります。初期段階であれば、正しい口腔ケアと定期的な歯科クリーニングで改善できますが、重度の場合は長期的な治療と継続的な口腔ケアが必要になることもあります。
まとめ
歯周病が治るかどうかは、病気の進行度によっては治るケースもありますが、歯茎や骨を元の状態に戻すことは難しいです。
歯の周囲の組織が歯周病菌によって破壊されて骨が溶けてなくなっている場合は、元に戻らないため、治らないともいえます。
歯周病治療でまず患者さんに考えていただきたいのは、歯周病の症状や進行を食い止めるということです。歯や歯茎をしっかりメンテナンスすることで歯周病菌が減って炎症はとれますので、お手入れを続けていくことが大事です。