歯が生えない理由とはどのようなものか、治療法なども含めてご説明します。
大人の歯が生えない理由
歯は、赤ちゃんの頃に子供の歯が生え(萌出)始め、成長していくにつれ12歳頃までに大人の歯へ生え変わります。
- 生後半年くらいに乳歯が生え始める
- 6~7歳頃に乳歯が抜け始め永久歯の頭が歯茎から出て歯が生え変わる
通常は、このようなサイクルで歯は乳歯から永久歯へと変わりますが、年齢を過ぎても永久歯が生えない方や、遅いと感じられる場合は、口腔外科を標榜している歯科医院の受診をおすすめします。
- 顎の骨の中の歯の位置や方向に異常がみられる
- 歯が形成不全を起こしている
- 歯の萌出力が不足している
口腔内の原因以外で、全身の疾患による原因もあります。
- カルシウム代謝障害
- ビタミンの欠乏症によるクル病・クレチン病
萌出遅延か、永久歯がないのか、他の病気なのかという点は、医師に相談しましょう。では、一般的に多い原因である永久歯がない・永久歯が生えられないという状態についての対処法をご案内します。
①永久歯がない
永久歯が一部のみ欠如している状態を部分的無歯症、全部の歯が生えない場合は全部性無歯症と呼びます。遺伝でもともと歯を欠損している場合を先天性、虫歯や歯周病などで歯を失っている場合を後天性と分けます。歯科医師によるお口の確認を終えた後、X線(レントゲン)・歯科用CTなどの精密検査を行います。検査の結果、永久歯がない形成不全が生じている場合は、以下の治療法となります。
入れ歯・ブリッジ・インプラントの治療を行う
歯並びや噛み合わせに特に問題がない場合は、この治療法が一般的です。乳歯が抜ける前に永久歯の欠如を知った場合は、なるべく乳歯を大切に使うようにします。
ただ、乳歯は永久歯と比べてむし歯になりやすいリスクがあり、定期検診でクリーニングを行っていても、乳歯は歯根が吸収されていく性質です。そのため、どれほど丁寧にケアを行っていても、40代までには抜けてしまいます。欠損部分には、部分入れ歯やブリッジ、インプラントなどいずれかの治療を行いましょう。
- 入れ歯やブリッジは保険適用内で安く行えるメリットがありますが、入れ歯はバネをかける歯、ブリッジは歯を削って隣接の歯で欠損部分の噛む力を補うため、他の残存歯に負担をかけてしまうことと噛む力の弱さがデメリットです。
- インプラントは人工歯根を埋入するため永久歯と変わらない咬合力がメリットですが、自費治療のため高い費用がかかり、手術をしなければならないデメリットです。
矯正治療を行う
欠損部分以外の永久歯が全て生え揃ったタイミングで、欠損部分の乳歯を抜きます。その後、全体的な歯並びや噛み合わせがきちんと正しい位置に並ぶように治療します。
- ワイヤーブラケット矯正(表側矯正・ホワイトワイヤー矯正・裏側矯正)
- マウスピース矯正(インビザライン矯正)
②永久歯が生えられない
永久歯が歯肉の中に埋まったまま歯茎から生えないという状態が長い時間続くと、隣の歯を押して、歯列をデコボコにしたり、噛み合わせが合わないトラブルになります。永久歯がきちんと生えられるように、歯科医師が改善するための治療を行います。
歯茎の厚みが原因ならば削る治療を行う
歯茎の分厚さが、他の方と異なる場合、永久歯が生えてこない一因となります。基本的には時間が経過すれば生えるケースが多いですが、定期的に検査をしても生えない際は、歯茎を切る必要があります。
- レーザーで歯茎を切って永久歯の萌出を待つ
- それでも生えない場合は、歯科矯正により歯の動きを促進する
過剰歯を抜いてスペースを作る
本来生えるべき歯の本数より多く生えていると、歯が生えるスペースがありません。過剰歯という原因で生えない場合は、過剰な歯を抜歯する手術を行います。手術の経験が豊富なドクターのもとで行うと良いでしょう。
歯が生えない方への薬開発中
現在では、インプラントや入れ歯、ブリッジなどが治療法として挙げられますが、将来的には、歯が生える薬が出るかもしれません。京都のあるベンチャー企業が自己歯再生薬、いわゆる歯生え薬を開発中というニュースがあります。マウスやイヌまでは歯の本数が回復する状態になると実験済みとのことです。ヒトに対して行えるかどうか、安全性試験という段階の準備をしているようです。
歯が生えない理由と治療法に関するQ&A
歯が生えない理由には、顎の骨内の歯の位置や方向に異常があること、歯の形成不全、歯の萌出力の不足、カルシウム代謝障害、ビタミンの欠乏症などがあります。
永久歯が生えない場合、入れ歯・ブリッジ・インプラントの治療が行われます。また、歯並びや噛み合わせの調整のために矯正治療も行われることがあります。
まとめ
噛める歯を長く健康に保つことは、全身の健康管理においても、日常の生活の質においても大変重要です。歯が生えてこないとお悩みの方は、子供でも大人でも一度ご来院し、ドクターやスタッフにご相談いただく方が良いでしょう。