妊娠中につわりなどで体調の変化が激しく、歯磨きが出来ない時期があります。しかし妊娠中は歯周病や虫歯になりやすいため、何とか歯のケアをしなければなりません。妊娠中の歯磨きの仕方についてご説明します。
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つわりにありがちな吐き気で歯みがき出来ない時は・・
妊娠中に体調が悪くても、虫歯予防や歯周病予防をしなければ歯の状態が悪くなってしまいます。しかし、人によっては食べ物を見たり匂いをかいだだけで気持ち悪くなる方もおられます。
そのような場合には無理に歯磨きをせず、少し時間をあけて気分が良くなったら、また歯磨きに挑戦してみましょう。歯磨きをする際にも、一度に全部の歯をきれいにしようとは思わず、部分的に少しでもきれいに出来れば良しと思って、完璧を求めずに行っていきましょう。
特に上顎の奥歯の歯磨きは健康な方でも嘔吐反射が起こりやすい部位ですので、無理は禁物です。つわりの症状が軽い時に歯のケアを行いましょう。
つわりが酷いときの歯磨き剤の選び方
つわりは個人差が大きく、あまり体調の変化がない方もおられる反面、寝込んでしまうほど体調が悪く、飲食さえ難しくなる方もおられます。
つわりの症状で歯磨きが出来なくなることはよくあることですが、虫歯や歯周病にならないために、工夫してセルフケアを行いましょう。
工夫して頂きたいのは以下の4点です。
- 歯ブラシのヘッドを小型のものに変える
- 歯磨き剤を香りの少ないものに変える
- 歯磨き剤を刺激の少ないピリピリしないものに変える
- 歯みがきが無理なときは洗口剤でうがいをする
妊娠時は、いつもならスッキリ気持ちよく感じるミントの香りが、逆に気持ち悪く感じることもあります。香り以外にも、スースーする清涼感や粒々の感触が気持ち悪いと感じることもあり、一概にどれなら大丈夫とはいえません。
妊娠中は歯のケアが難しい
妊娠中はホルモンのバランスが崩れて体調に変化が起こります。お口の中の変化としては、唾液が少なくなるということがあげられます。
唾液は口腔内の食べカスや細菌を洗い流したり、細菌の出す酸で溶けてしまったエナメル質を修復する再石灰化の作用などがありますので、唾液の分泌が減ると虫歯や歯周病のリスクが高まります。
歯みがき以外のセルフケア方法
どうしても歯磨きが出来ない時に、少しでも虫歯や歯周病の予防になる方法をご説明します。
キシリトール入りガムを噛む
つわりがひどい時は、お口の中に何か入っていると気持ちが悪いかもしれませんが、「つわりで歯磨きは無理だけどガムなら平気」という方には、キシリトール入りのガムで虫歯予防をすることをおすすめします。キシリトールには虫歯菌が酸を出さなくさせる効果があります。
洗口液でうがいをする
市販の洗口液には香りや味がついたものがあり、それらが気持ち悪い時は、殺菌力のある緑茶や塩水でうがいをしましょう。
妊娠中の歯のケアで気をつけることは?
妊娠後期になるとつわりは治まりますが、胎児が大きくなってくることによる身体の変化で、今度は腰痛など、主に身体に負担がかかってきます。
お腹が大きくなるので、歯みがき後に鏡を見てきれいに磨けたかどうかのチェックも、しにくくなります。そのため、歯の状態を診るための手鏡を用意することをおすすめします。
手鏡を見ながら楽な姿勢で歯磨きを行って、腰への負担を減らすようにしましょう。
妊娠性歯周炎に注意
一般的には妊娠期には歯周病にかかりやすく、しかも悪化しやすくなるといわれます。
妊娠期間中はホルモンバランスの影響で、歯茎に炎症が起こる場合があり、これを妊娠性歯肉炎または妊娠性歯周炎といいます。
妊娠性歯周炎は妊娠初期に起こりやすく、主な症状は歯茎の腫れと歯茎からの出血です。歯周病は全身の健康に様々な影響を与えることが知られており、早産や未熟児の原因になるリスクがあります。
歯周病の赤ちゃんへの影響
1.低体重児出産
歯周病と低体重児出産の関連性については様々な研究がなされており、低体重児出産のリスクは歯周病患者は他に比べて7.5倍にもなるといわれています。
2.早産
歯周病と早産の関連性についても研究が進んでおり、歯周病があっかすると体内のサイトカインが増えて、サイトカイン数値の高い人ほど出産時期が早まることがわかっています。
※サイトカインとは様々な刺激によって免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、主に身体に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除するための役割を担っています。
妊娠中に歯磨き出来ない時に関するQ&A
妊娠中のつわりで歯磨きが難しい場合、無理に歯磨きをせずに少し時間をあけてから試みることが大切です。また、歯磨きをする際には部分的にでもきれいにできるように心掛けましょう。
妊娠中はお腹が大きくなり歯磨き後のチェックがしにくくなります。そのため、手鏡を使って楽な姿勢で歯磨きを行い、自分の歯の状態を確認することが重要です。
妊娠性歯周炎は妊娠期に起こりやすく、歯茎の腫れや出血が主な症状です。歯周病は早産や低体重児出産のリスクを高めることが知られています。特に妊娠性歯周炎に注意し、定期的な歯科検診と適切なケアを行うことが重要です。
まとめ
つわりの症状は人それぞれですが、お口の中にトラブルが起こりやすい時期なので妊娠期の歯のケアには気をつけたいところです。しかし無理をして歯磨きを行った結果、気持ち悪くなって吐いてしまっては、胃酸で歯がダメージを受けてしまいます。
身体の状態をチェックしながら無理のないお口のセルフケアを行っていきましょう。また、妊娠期は歯周病になりやすいため、つわりがおさまったら出来るだけ歯科健診を受けるようにしましょう。