年末年始やお盆休みなどの連休の時に限って詰め物や被せ物が外れたことはありませんか?詰め物や被せ物が取れるのはどんな原因があるのかご説明します。
詰め物・被せ物はどうやって接着するの?
歯と詰め物・被せ物は、歯科用セメントで合着しています。ただ、このセメントは水分に弱いため、接着させる際は、患部に風をあてて、念入りに乾燥させてから着け、完全にかたまるまで時間を置きます。
セメントがかたまり、硬くなれば無事に合着できたことになりますが、もし完全にかたまる前に何らかの強い力が加わったり、水分が多量に混じってしまうと、接着力が落ちてしまいます。虫歯治療の後、「しばらく飲食は控えてください」と言われるのは、そのためでもあります。できれば、治療したその日は硬いものを噛むなどは避けたほうがいいでしょう。
詰め物・被せ物がとれる原因
詰め物・被せ物がとれる原因には以下のようなものがあります。
1.歯科用セメント(接着剤)の劣化
セメントの劣化は、経年によるものもちろんですが、急激な温度変化をくり返したり、酸性度の高い食べ物を頻繁に飲食することなどでも、劣化は速まります。
2.詰め物・被せ物そのものの劣化
天然の歯よりも、人工物である詰め物・被せ物のほうが当然傷みやすいです。咀嚼(食べ物を噛むこと)や噛み合わせによって、時間をかけてすり減っていくのは同じです。
傷んだ詰め物に穴があいたり、被せ物にヒビが入ったりして、すき間から水分、汚れ、細菌が入り込みます。その後セメントとの合着が弱まり、最終的にとれてしまうことがあります。
3.歯と詰め物の間に虫歯がある
虫歯治療後の歯は、無傷の歯よりも非常に虫歯になりやすいのです。とくに、歯と詰め物のすき間には段差があり、細菌・汚れが詰まりやすいです。
被せ物の場合、患部にかぶせたフチの部分から新たな虫歯菌が入り込むと、見えないところでどんどん虫歯が進行してしまいます。虫歯菌がセメントを溶かしたりして、詰め物・被せ物がはずれ、そして二次虫歯も明るみになることが患者様の中では最も多い症例です。
4.土台の歯の破折
治療後の土台歯が、何らかの理由で割れてしまったり、ヒビが入ると、合わなくなった詰め物・被せ物ははずれやすくなります。とくに、神経を取り除いた歯は、栄養が十分に行き届いていないことからかなり脆くなっており、衝撃に弱く、割れやすいです。神経の治療をした歯の被せ物にはさらに注意しましょう。
5.歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりがあって詰め物・被せ物をした歯に力がかかったり揺れたりすると、詰め物や被せ物が外れやすくなります。
また、歯ぎしりをすると天然の歯より硬い詰め物や被せ物が歯に強く当たりますので、歯に負担がかかって詰め物・被せ物が外れたり壊れたりすることがあります。
歯ぎしりの原因は医学上は明らかになっておらず、夜にナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着して眠る、昼間に歯を食いしばらないように気をつけるなどの対症療法となります。
詰め物・被せ物を長持ちさせるために
詰め物・被せ物の治療が終わった後に、歯を長持ちさせるためには、メンテナンスが重要になります。最近では予防歯科に力を入れている歯科医院が増え、当院でもエアフローという器械を使ったメンテナンスによって、虫歯や歯周病の予防を行っています。
歯医者でのメンテナンスは3ヶ月~4ヶ月に1回受けて頂くことが多いですが、毎日のご自宅での歯磨きも丁寧に行って食べカスや歯垢をきちんと落とす必要があります。
まとめ
詰め物や被せ物の治療をしても経年劣化などで外れる場合があります。治療後すぐに外れやすい方は、歯ぎしりをしている可能性があります。治療後の歯を長持ちさせるためには、毎日の歯磨きをしっかりやることに加え、歯医者でのメンテナンス(クリーニング)を受けて頂くことが大切です。